【CFO独占インタビュー有り】リリース半年でユーザー数3,000万人を誇る「Catizen」を徹底解説

【CFO独占インタビュー有り】リリース半年でユーザー数3,000万人を誇る「Catizen」を徹底解説

本レポートは「Catizen」をテーマにした徹底解説記事です。LGG Researchでは、本レポートを皮切りにこれからTONをテーマにした連載をスタートさせていきますが、その第一弾の記事となります。TONエコシステムの概要や定点観測に加え、人気プロジェクトに関する深掘り記事も更新していきます。また、今回紹介する「Catizen」に関しても追加アップデートがあれば今後も記事にしていきます。ぜひ楽しみにお待ちください!

では、本編です。

Catizenとは?

「Catizen」はTONブロックチェーン上に存在するPlay to Earnゲームです。Telegramから直接アクセスできるTelegram Mini Appとして構築されています。

ゲームのストーリーとしては「猫カフェ経営」をしながらポイントを貯めていくものになります。自分の猫カフェにより多くの猫を種類の猫を揃え、ランクを上げることで、1秒当たりに獲得できるポイントの数が高まります。

これだけ見てもわからないと思いますが、まずはイメージをつけるために基本画面とその説明になります。

出典:https://hyper-text.org/archives/2024/06/catizen-game/
  1. Fishing
    「Fish Coin」を使って釣りゲームを行い、 $vKITTY を稼ぐことが可能。
  2. $vKITTY保有量
    カフェの売上や釣りゲームによって獲得できる$vKITTYの保有量が表示。
  3. 現在の収益スピード
    現在の猫の数とレベルで1病患にどれだけの$vKITTYを獲得できるのかが表示。
  4. 現在のランキング
    猫カフェの収益に応じてランキングが変動。他のユーザーと比較した自身のランキングが表示。
  5. Shop
    ゲーム内課金のできるショップ。$TONなどのトークンでFishcoinを購入することができる。
  6. Earn
    Fishcoinを貰うためにデイリータスクなどのクエストを確認。
  7. Generate
    表示されている$vKITTYを支払うと新しい猫が生成される。
  8. Feed
    Generateで表示されている猫以外の種類の猫を生成できるリストが確認できる。

では、より詳しく説明していきます。随時上の画面を確認しながら読んでいただくと入ってきやすいかと思います。

ポイントは主に2種類あり、猫カフェの売上として獲得できる「$vKITTY」とデイリータスクなどで獲得できる「Fish Coin」です。

「$vKITTY」を使うことで新しい猫の生成が可能です。尚、猫のレベルアップは同じ種類の猫を重ね合わせることでレベルアップできます。なので、「$vKITTY」を使い新しい猫を生成しながら、同じ種類の猫を重ね合わせて新しい猫にする、これを繰り返すことで1秒当たりに獲得できる「$vKITTY」の数が増えていくというわけです。

「Fish Coin」は釣りゲームのために利用することができます。釣りゲームによって「$vKITTY」を稼ぐことができます。時には大きな魚が釣れ、フィーバータイムが訪れることで一気に「$vKITTY」を稼ぐことができます。

出典:https://hyper-text.org/archives/2024/06/catizen-game/

また、Fishcoinは課金によって購入することができます。Catizenは基本無料でプレイできますが、Fishcoinの購入に課金ポイントがあり、釣りによって大きく「$vKITTY」を稼ぎたい人は課金することが可能です。

整理します。

  • Catizenは猫カフェ経営ゲーム。
  • 同じ種類の猫を重ねて猫をレベルアップさせ、より高いレベルの猫を多く揃えることで1秒間に獲得できるポイント「$vKITTY」の数が増える。
  • 「$vKITTY」を使うことで新規猫の生成が可能。
  • 他にもデイリータスクなどのクエストをクリアすることでFishcoinを獲得できる。
  • Fishcoinを使って釣りゲームをすることで「$vKITTY」をさらに稼ぐことができる。
  • Fishcoinは課金によって獲得することもできる。

尚、「$vKITTY」も「Fishcoin」はポイントと表記していますが、これらはトークンではなくゲーム内ポイントです。

Catizenのユーティリティトークンは「$CATI」と呼ばれ、上記トークンの獲得量やゲームへの貢献に応じてユーザーにエアドロップされていくそうです。

以下、アロケーションです。注目すべきはエコシステムエアドロップに43%の割り当てがあることで、コミュニティに対してしっかりと還元する意思があることがわかります。

出典:https://docs.catizen.ai/usdcati-tokenomics

Catizenの変遷と実績

続いて、Catizenの変遷と実績について主要な部分をピックアップして紹介します。

2024年第1四半期

  • 2024年3月19日にオープンベータ版ローンチ。
  • シードラウンドでの資金調達を完了。
  • トークンエコノミクスの詳細を発表。

2024年第2四半期

  • 香港Web3.0カーニバル (TON DAY) で紹介され、TON Foundation の創設メンバーおよびTOP LabsのCEOから表彰。
  • 2024年4月28日に最初のゲーム内 Launchpoolを立ち上げ。(※)
  • TON Foundationのイノベーター ブログ シリーズ <TON Innovators: Catizen> で紹介され、TON Blockchain によってツイートされる。
  • The Open Leagueのアプリケーションバトルで1位を獲得。

Catizen Launchpool とは?

Catizenゲーム内で開催されたローンチプールイベントで、Fishcoinもしくは猫を預け入れることで「$wCATI」を獲得することができるイベントです。「$wCATI」保有者はエアドロップの際に「$CATI」の割り当てを受けることができるとのことです。「$CATI」のエアドロップは通常のゲーム利用者にも配布されますが、Launchpool参加者にしか配布されない「$wCATI」保有者にも配分される。この第一回Launch Poolへの参加者は17万人を超え、そのうち24,000人以上がCats Pool、147,000人以上がFishCoin Poolに参加しました。

2024年第3四半期

  • Hashkey Capital、TOP、Folius Ventures、Binance Labsからの投資により資金調達ラウンドを完了。
  • The Open Leagueで3シーズン連続1位を獲得。
  • TON Foundation との 2 回目のインタビューを完了し、TONブログで紹介。
  • Catizenゲームセンターを開設(※)

※Catizenゲームセンターとは?

正式名称は「Catizen Mini Game Center」です。2024年8月23日にオープンベータ版がリリースされました。言葉の通り、Catizenがアプリセンターとなり、その上に存在するミニアプリ群です。当初からCatizenはミニアプリプラットフォームになることを宣言しており、そのためのアプリセンターがいよいよ公開された形です。詳細は後述しますが、今後はこのMini Game Centerに200以上にミニアプリが登場し、1億人以上が利用するミニゲームプラットフォームになると宣言しています。

実績

2024年8月23日時点で、公式が発表している実績を紹介します。

  • プレイヤー総数:29,563,717
  • オンチェーンユーザー総数:1,920,087
  • ゲーム内購入の累計額:20,940,143ドル
  • 総有料ユーザー数:620,079
  • ARPPU:ゲーム内課金者1人あたり約33.7ドル
  • Xフォロワー数:2,273,374
  • Telegram フォロワー数:5,404,396
出典:https://x.com/TON_jp_org/status/1809803353720832155

【独占】CFOへのインタビューを実施

さて、ここまではCatizenの概要と変遷を紹介してきましたが、我々0xCがCatizenのCFOであるRicky氏へインタビューの機会をいただいたので、本記事独占で公開します。(インタビューは英語で実施しましたが、ここでは翻訳して紹介します)

Q1)マーケティングの成功要因は何ですか?

①商品の質がよい
まずはよい商品を作ることはマーケティングにおいて最も大事。

②Web3マーケターは使わず、現地の企業と提携してマーケティングを行った
特に日本と韓国は、それぞれ現地企業と協力して実施。ロシア、アメリカ、香港、日本、韓国などの国で実施した。

③Web2ユーザーも巻き込む施策をとった
楽しく遊べるゲームを探しているWeb2プレーヤーをターゲットにした。ゲームを遊んだら報酬を与えるという要素も訴求した。

投資家からは「オンチェーンのコンバージョンが60%と低いね」と言われたが、この3点を意識することでマーケティングを成功させました。

Q2)マネタイズのポイントはどこですか?

①ゲーム内購入
プレイヤーがゲーム内課金をした収益が開発スタジオに分配される。

②TGE(トークン上場)
5 年間の権利確定を条件に、Pluto Studio(開発会社)に 20% のトークンを割り当てられる。

③ゲームセンターでの収益
Catizenゲームセンター上に構築されたゲーム内の収益の一部はCatizen Foundationと分配される。Catizen Foundation Companyはゲームセンターにトラフィックを集め初期ユーザー獲得に貢献する代わりに収益分配のリターンを受け取る。

展望と成功要因を考察

最後はCatizenの展望を紹介しつつ、ここまでの成功要因と展望を踏まえた今後の展開を考察します。

まず展望において最も大きな動きは「Catizen Mini Game Center」のローンチです。ゲームプラットフォームになることは当初から掲げていたビジョンなので、Catizen自体が1アプリとして一定の成功を納めたことでいよいよ掲げていたゲームプラットフォームになるというビジョンに対して動きだします。

実はこのゲームプラットフォームになるという動きは他のTelegram Mini Appでも見られます。

Tap to Earnを牽引したNOTCOINもトークンリリース後は以前のようなTapゲームだけでユーザーを誘引できるわけではないことを認めており、ゲームプラットフォームになることを宣言しています。今後は「Notcoinアプリを介してユーザーが他のより新しいテレグラムゲームに参加することで、Notcoinを獲得できるさまざまなキャンペーンを提供すること」を掲げており、まさにCatizenのようなゲームプラットフォームを目指しています。

また、現時点でNo.1のユーザー数を誇るHamster Kombatも同様の動きを見せています。アプリ内に「Playground」というタブを出現させ、ミニゲームがプレイできるようになっています。このゲームをプレイすることでHamster Kombat内でも獲得できるキー(鍵)を獲得できるようで、このキーの保有量がエアドロップの配分にも関わるようです。

出典:https://hamster-kombat.org/ja/playground/#google_vignette

このように、まずエアドロップを匂わせることでユーザーを集客し、そこで獲得したユーザーを別のアプリに流すハブとして機能させることで永続的な収益化とトークンエコノミクス(トークンのユーティリティ)の確保を目指す流れが出来上がっています。

その中で「Catizen Mini Game Center」もいよいよリリースされ、ゲームプラットフォームとしての争いが始まります。それぞれの構想を読んだ所感にはなりますが、「Catizen Mini Game Center」はかなりミニゲームに力を入れており、その展開スピードが他と比べても異次元のように感じました。1年以内に200ものミニゲームが公開され、総ユーザー数が1億人になると宣言しています。

この背景には、元々Catizenの開発チームのPluto StudioがWeChat等のプラットフォーム上のミニアプリを多数成功させてきたチームであることも関係あるかもしれません。これまでの繋がりや知見を元に一気にミニアプリプラットフォームとして成長していきそうです。

また、ロードマップによれば2024年第3四半期にトークンのエアドロップが始まる予定です。大規模なエアドロップはもちろん、トークンエコノミクスがどのようになるのかも注目されています。また進捗があれば別の記事で解説します。

その他のロードマップとしては、2024年第4四半期には「Launchpool と Game Center が一般参加可能に」なり、一般ユーザーがゲームおよび取引に参加できるようになるとのことです。2025年には「ユーザーのエンゲージメントと報酬を増やすためのWeb3広告システムを備えたタスク プラットフォームの開発」や「AIを用いたコンパニオンやAI猫機能の強化」などが掲げられていました。

そして、丸一年後の2025年第3四半期には、Catizenが200以上のミニアプリで拡張され、総合的なミニゲームとソーシャルハブに生まれ変わるとのことです。

現状のCatizenでの成功から1年で一気にミニアプリプラットフォームにまで進化することを考えると非常に楽しみです。

さて、最後はここまでリサーチした上で成功要因を考察してみます。

結論、以下の2つだと考察します。

①ゲームのクオリティ

CFOのRicky氏もマーケティングの成功要因において1番目の要素の「商品のクオリティ」を挙げていました。どんなにマーケティング力が高くても、トークンのエアドロップによる報酬で釣っても、ゲーム自体のクオリティが高くなければプレイされません。

“トークンのエアドロップ報酬をチラつかせればユーザーは必ず集客できる”という勘違いがよくあります。これは間違いです。なぜならエアドロップをチラつかせるプロジェクトは無数にあるからです。その中で自社アプリを選んでもらう必要があります。

ここには革新性、ファウンダーのトラックレコード、マーケティング戦略など、多数の要素をはらんでいますが、ゲームのクオリティは外せません。

クオリティが高いからプレイヤーが持続するという側面もありますが、それだけクオリティ高いゲームを作れる”チーム力の証明”という側面もあります。あえて断言するのであれば、エアドロップ前のユーザーが求めることは1つで、トークン価格の上昇です。ユーザーも馬鹿ではないので、プレイしたゲームのクオリティによって運営チームの実力を図ります。それはひょっとしたら無意識下かもしれませんが、ゲームのクオリティが低いと不安になることは間違いありません。

なお、ここでのゲームのクオリティは単純にUIが綺麗でありサクサク動くという大前提の部分と、ゲーム設計というユーザー体験の部分の2つがあります。どちらも大切です。

②タイミング

2つ目はタイミングです。これはweb3に関わらず、スタートアップの成功に最も大切なのは”タイミング”であるという研究結果が出ています。

出典:https://u-note.me/note/47508011

AIブームの最中にAIの事業を行う、SaaSブームの中でSaaS事業を行うことで時価総額も高くなり、一気に事業は加速します。web3でもNFTバブルの際にPFPを出すことで高値がつき、その時々でトレンドとなっているブロックチェーン上でアプリケーションを作ることで一気にユーザー数を獲得できます。

現在、TONブロックチェーンが1つのトレンドになっています。その中でもTONを活用したTelegram Mini Appがトレンドです。これはNOTCOINが火付け役となり、Hamster KombatやCatizenによって確かなブームとなったと感じます。

このTONブロックチェーンおよびTelegram Mini Appのトレンドの中でちょうど良いタイミングでCatizenはリリースされ、ユーザー数を一気に確保しました。どれだけサービスのクオリティが高くても、昨年リリース、来年リリースでは今と同じような結果にはならなかったはずです。

よって、ブームが始まるタイミングでリリースされ、ブームを作る一助を担うポジションを取れたことが成功要因の中の1つを占めると考えられます。

以上、2つがLGG Researchとして考察する成功要因です。当然の結論に帰着しましたが、ここをやり切ることがやはり成功に繋がるのだなと感じます。

よって、今後TON上でゲームをリリースされていく事業者の方もこの2点を意識することが必須です。特にタイミングに関しては非常に重要で、ゲームの内容に関してもトレンドがあるのでそこを汲み取らなければ古いゲーム性になってしまう可能性もあります。

総括

以上、本レポートではTON上の大人気ゲーム「Catizen」について解説しました。0からCatizenの概要と変遷が理解でき、CFOへの直接インタビューも通して、その成功要因を分析しました。LGG Researchは引き続きCatizenチームと連絡を取っておりますので、直接インタビューなどここでしか閲覧できない独占情報も含めた記事を更新していきます。

この連載では引き続きTONでゲームリリースを検討している事業者の方にとって有意義となるような記事を更新していきますので、ぜひ楽しみにお待ちください!

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