本連載では、ユーザー数9.5億人を誇るTelegramが展開するプラットフォームである、Telegram Mini Appsで流行っているWeb3プロジェクトを紹介します。
今回は元Binance副社長がトップであり、エアドロップ未実施ながらもリリースから約半年で8,000万人ものユーザーを獲得した「Blum」を取り扱います。
Tap to Earnのゲームを実装していますが、Telegramをユーザー集めのツールとして扱っています。
ユーザーを獲得した後にどのような構想を抱いているのかを調査しました。
Blumを知っておくべき理由
本編に入る前に、事業者がBlumを知っておくべき理由を①実績②運営チームの観点から解説します。
これまでの実績
2024年4月19日のリリースから約半年の間に下記のような実績を残してきました。
- ユーザー数8,000万人(内1,000万はアクティブウォレット)
- Xフォロワー550万人
- Telegramチャンネル購読者数3,090万人
- Youtubeチャンネル登録者数828万人
- バイナンスMVBプログラムに選出
- Binance Labから出資
- OKX/Bitget/Catizen/PIXEL VERSE等との大型コラボ
◯バイナンスMVB(Most Valuable Builder)プログラムについて
BNB Chain、Binance Labs、CoinMarketCap Labsの協賛プログラムで、将来性の高いWeb3プロジェクトを支援しています。
参加者は創業者からの個別指導や、最大30万$相当のインフラとマーケティングのサポートも受けることができます。
Blumが参加したシーズン7では700を超える応募があり、採択されたのは1.8%でした。
約半年でユーザー数8,000万人は驚異的で、ユーザー数の推移は次のとおりです。
同様にTelegramチャンネルの購読者数も伸びています。
また、Web3の主要プレイヤーである各Tier1取引所やユーザー数が多いTONアプリとコラボしており、関係性が強いことも特筆すべき点です。
なぜBlumがこのような結果を残せたのかは、後ほど考察します。
運営チーム
ドバイに拠点を置くBlumは、4人の共同創業者を中心に運営されています。
- CEO:Gleb Kostarev氏
- CMO:Vladimir Smerkis氏
- CTO:Vlad Maslyakov氏
- デザイン:@0xGenie氏
Xアカウントを把握できた3名は、それぞれXのフォロワーが約350万人おり、非常に影響力のある人物です。
Gleb Kostarev氏は直近でBinenance副社長のポジションにおり、東欧/CIS/APAC/トルコ/オーストラリア/ニュージーランドを含む60カ国以上の責任者を務めていました。
Binence以前は、EY(ITコンサル)でマーケティング、Waves(金融)でグローバル広報の経験を持つ人物です。
Vladimir Smerkis氏も前職はBinanceであり、CIS/ロシアのマネージャーを務めていました。
他のキャリアとしてはRed Bullで広報、Mail.ru Group(ソフトウェア開発)の副社長、さまざまな会社でマネージングパートナー等を経ています。
Vlad Maslyakov氏は金融やブロックチェーン分野で24年の経験を持つ元Exanteの元CTO、0xGenie氏はTrustWalletとBinanceの双方でプロダクトデザインを統括していました。
彼らの共通点として、
- 4人中2人がBinanceの幹部層出身
- さまざまな企業でマネージャーやCxOの経験を持つ
- 金融やDeFiにも詳しい
- 事業開発担当の経験あり
- マーケティングの経験あり
であることから、豊富なビジネススキルとコネクションを持っていると想像できます。
Blum概要
続いて、Blumがどのようなアプリなのかについて解説します。
Blumはシームレスで安全かつ効率的な暗号資産取引のための主要なプラットフォームになることを目的に作られた取引アプリです。
現状ではTelegramミニアプリの一部機能のみが先行リリースされていますが、Telegram版はあくまでインターフェースの位置付けであり、モバイルアプリがBlumの目指すところです。
Blumの特徴は
- 中央集権型取引所(CEX)と分散型取引所(DEX)の良いところを掛け合わせたプラットフォーム
- Telegram経由でのモバイルファーストな取引
- 簡素化されたデリバティブ/ミームコイン取引
- Ethereum/Solana/BSC/TONを含む30以上のチェーンをサポート
などが挙げられます。
特にBlumはDEXの複雑なUIに課題感を持っており、CEXとDEXの中間になることをアピールしています。
TGE直後のミームコイン取引を例に挙げると、CEXではリスティングされていないため、UXが悪い中スキャムに気をつけながらDEXで取引する必要があります。
しかし、Blumを使うことでTGE直後からTelegramや取引アプリを通じてアプリ遷移なしで取引を可能にすると謳っています。
Telegram版Blum
最終的にDEXとCEXの中間アプリを目指して開発が進められていますが、現在は開発初期段階としてTelegram上にTap to Earnのミニゲームを搭載しています。
Telegramアプリ全体の構成は下図のようになっています。
アプリを構成する要素としては現状で下記に限定されますが、将来的にトークンを取引できるようになる計画です。
- BP(Blumポイント)
- ファーミング
- タスク
- Drop game(ミニゲーム)
- 紹介
- ウォレットコネクト
この中でユーザーが日常的に触るのはファーミングとタスク、Drop gameの3つです。
ファーミングは1回タップすると8時間自動でBPが貯まり、8時間経過するとBPをClaimできるようになる機能です。
タスクにはTelegramチャンネルへの参加/Youtube視聴/各種SNSのフォロー等があります。
リリース直後は機能がファーミング/タスク/紹介のみに限定されていましたが、2024年5月20日にユーザー増加の起爆剤となるDrop gameが実装されました。
Drop gameのシステム
Drop gameは、30秒の間に上から落ちてくるアイテムをタップし、ポイント(BP)を貯めるシンプルなゲームです。
挑戦には、招待やログインボーナスでもらえるチケットが必要です。
落ちてくるアイテムは3種類あり、それぞれ効果が異なります。
- BP:1タップで1BP獲得できる
- 水晶:一定時間動きを止める
- 爆弾:獲得BPが減る
Drop gameで獲得したBPは、1:1のレートで保有BPに反映されます。
どのように8,000万人を集めたのか?
Blumの実績や基本情報について把握できたところで、どのように半年で8,000万ユーザーも集めたのかを、ユーザー数推移と施策をベースに考察します。
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