
GameFiの歴史の中で、経済圏が機能した上でトークンの時価総額が大きく上がった事例は、「Axie Infinity」と「STEPN」の2つです。
両者とも、デュアルトークンシステムを使用し、ブリード機能を備えたモデルです。
これらのゲームは、仮想通貨(トークン)とNFTを使用し、既存のゲームとは違う世界観と利点を作り出しました。
特にSTEPNはトークノミクスが十分に考えられて経済圏が作り上げられており、ゲーム開発者にとってのいい実例になっています。
他にも経済圏が維持されて、機能しているプロジェクトももちろんありますが、この2つのプロジェクトがGameFi業界に大きなインパクトを与えた歴史的なプロジェクトであることは、誰もが認めるところでしょう。
LGGでは、Web3プロジェクトの成功を左右する要素は以下の5つだと考えています。
★Web3プロジェクトの成功を左右する5つの要素
1. ユーザーを惹きつけるコンセプトやミッション
2. 純粋なゲームとしての面白さ
3. ユーザーとの信頼関係の構築とコミュニティビルディング
4. 消費の多様さと必然性が緻密に設計されたトークノミクス
5. 経済圏の状況に応じた適切なオペレーション
そこで本記事では、上記の5つの視点でSTEPNの成功事例だけでなく、反省点も詳細に分析を行いながら、Web3の新しいゲームを開発する上で、参考になる点、教訓、分析内容を包括的にまとめています。
今後NFTプロジェクトを取り組もうとしている企業様や、Web3の技術を取り込んで事業をされようとしている企業様にも、Web3ゲームやトークノミクスを用いたプロジェクト開発を進めるにあたって、
- トークノミクスを事前にどのレベルまで設計する必要があるのか
- プロダクトローンチ前およびローンチ後のマーケティング施策
- 運用をスタートしてからの進め方やコミュニティとの関係性構築
などの視点で、参考になる内容になっています。
本レポートの総論
<STEPNのプロジェクトとして優れていた点>
・初期段階で、コミュニティ基盤を強くするマーケティング施策を多く展開していた点
・トークノミクスの設計が秀逸で、他のWeb3ゲームとは一線を画していた点
・初心者でも使いやすいUI/UXが組まれており、非クリプト層にリーチできた点
<トークノミクスの問題点>
・ユーザーの将来のGST獲得量を多くするための消費要素が多く、最終的には行き詰まるようになっていた点
・いちユーザーのNFT保有数は30が最大値で購入に制限があり(つまり攻略が進んでいるユーザーは靴を買わなくなる)、それ以上のNFT購入は、新規ユーザーの購入に委ねられてしまっていたので、NFTバーン要素が最初から必要だった点
<ゲーム開発者がSTEPNから教訓として学べること>
・ユーザーが損をしても(100万円支払ったリターンが99万円以下でも)満足できる仕組みを用意すること
・経済圏の外側からの資金作りや、上記の設計をしない限り、ユーザーの売り圧をカバーすることができない、という前提で設計をすること
・新規ユーザーの流入✖️吐き出し量の調整✖️外部経済圏からの資金流入✖️NFTバーンの設計の4点で、設計できているかどうかをチェックすること
目次
【第一章】STEPNの何が優れていたのか?
最初に、改めてSTEPNがアプリケーションとして、何が優れていたのかを整理していきます。
STEPNがアプリケーションとしてスマッシュヒットした要因は大きく分けて次の3つがあります。
★STEPNがスマッシュヒットした3つの要因
1. 「Move to Earn」というコンセプトが画期的だった
2. 誰でも使えるシンプルなUI/UXと可愛らしいデザイン
3. 運営とユーザーとの距離感が近く、信頼関係を大事にした
1.「Move to Earn」というコンセプト

STEPNのユニークさは、ゲームをして稼げるという「Play to Earn」の要素が組み込まれた”ライフスタイル(ヘルスケア)アプリであること”にありました。
ユーザーは、スニーカーNFTを購入し、それを使ってウォーキング、ジョギング、ランニングをする事で、トークンを獲得していくことで利益を出すことができます。(=Move to Earn)
数々の「Play to Earn」のゲームが、ユーザーの可処分時間を奪い合う中で、誰もが日常的に行っている「移動」に一番最初に注目し、10分のウォーキングから始められる設計にしたことで、「X to Earn」の第一人者のポジションを確立しました。
これにより、「普段忙しくてゲームをする時間が取れない」という人も対象になりました。
実際に「仕事帰りに歩くだけで稼げるのは本当にすごい」という声も非常によく聞きました。
2.誰でも使えるシンプルなUI/UXと可愛らしいデザイン

加えてSTEPNが他のWeb3ゲームと違ったのは、仮想通貨を稼いでから利益確定をする(USDCやBUSDといったステーブルコインに変える)までの一連の流れを、アプリの中で完結させたことです。
それまでのWeb3ゲームは「ゲーム内で稼いだ仮想通貨を、メタマスクなど外部ウォレットに移して、仮想通貨取引所で現金化して」とユーザーが利益を確定するまでに、非常に手間がかかりました。
STEPNのアプリUIは余計なものを加えないシンプルなデザインで、DEXやウォレットという言葉に疎い人でも簡単に使え、「Move to Earn」を体験するのに専門的な知識を要しませんでした。
このシンプルなUIによって、GameFiの主戦場にいたクリプトユーザーだけではなく、仮想通貨に触れたこともない非クリプトユーザーにもアプローチでき、多くのユーザーを獲得することに成功しました。
また、ユーザー同士でガチャの成果報告をしたくなるUIにもなっており、その運要素も含めたデータを分析して「攻略ガイド」を共有したくなるようにも設計されています。
さらにNFTやアプリのデザインの可愛らしさも重要であり、「アプリの見た目が可愛くて使いやすい」という声や、「レベル上げをしたり、毎日使って歩いていると愛情が湧いてきて、手放したくなくなってくる」という声をよく聞きます。
結果として、DiscordやTwitter上でのコミュニケーションが活性化し、ユーザー数が増えていく要素として機能しました。
3. 運営とユーザーとの距離感・信頼関係
-1.png)
STEPNは、ユーザーとの距離感・信頼関係をとても大切にしています。
Discordの履歴をたどってみると、プロジェクト発足から12月20日のパブリックβ版のリリースまでの間に行われた各種マーケティング施策にも、ユーザーとの距離を大切してきた歴史が伺えます。
他のWeb3ゲームも初期ユーザーにNFTをエアドロップする施策はやっていますが、STEPNは一気に配ってしまうのではなく、
・細かく何回にも分けて
・色々な属性のユーザーに対して
・STEPNに貢献してくれた人に配る
という形を取ることで、ユーザーとの接点を多面的に作っていました。
また初期からユーザーとの対話を頻繁に行い、2021年の12月頃から毎週AMAを継続して行っています。しかも、運営の経営陣自らが、毎週直接やり取りしています。
GMTが上場する際には、初期から入って応援してくれていたユーザーにサプライズエアドロップも実施しています。
結果的に、愛着心やロイヤリティが高い人が多いプロジェクトになり、コミュニティの強い結束力を実現しています。
だからこそ、GST・GMTが下降している局面にあっても、アプリを手放さずに応援を続けていたユーザーも多く、この点はAxie Infinityに通じるものがあります。
さらに「稼げるゲームを作る」ことを目的に作ったプロダクトではなく、「人々を健康にするために」作ったプロダクトであったことも大きく関係しており、運営はこのプロダクトのミッションを何度もコミュニティに向けて発信していました。
実際に、運動習慣がついて体重が減った人、時間に余裕ができて家族とのコミュニケーションが活発になった人も多く、金銭以外の価値を感じられている点が多いのも、ユーザーが離れないポイントの一つと言えるでしょう。
こうした地道な運営やゲーム設計によってコアなユーザーを作り出し、STEPNを長くプレイしてもらう工夫に長けていました。
【第二章】STEPN経済圏の歴史を振り返る
次に、STEPNの運営が行ってきた施策の全体像を理解するために、プロジェクトが立ち上がってからの年表を振り返ります。
全体の年表を俯瞰で見ることで、1つ1つのできごとの相関関係やトークン価格との連動、マーケティング施策でしてきた仕込みや準備など、点と点が線で繋がります。
★重要POINT
アルファ版からベータ版で機能を削ぎ落とし、説明が必要のないUI/UXを実現していること。
初期から強いインフルエンサーを使用して認知を高めることはせず、経営層とユーザーのダイレクトな繋がりを多面的に展開していること。
マーケティングの具体的な施策として、AMAを週1回行っていることや、ミーム(※)・紹介イベント・バグレポートなど多岐に渡る施策を、2日1回発表という形で行ったことなど、Discordでのユーザーとの接点を多くして、繋がりを濃くしていくという地道な関係構築を意識的に行っている点もポイント。
この辺りは、後で詳細に述べていきますが、最初に全体像を時系列で相関で繋げていくことで、ゲーム運営者として、どういう面が再現性があり、使える施策なのか、などが浮かび上がってきます。
まずはズラっと年表を見ていただき、記事を一読後、再度この年表を見ると点と点がつながってくるはずです。
(※)オフィシャルコンテンツに対してユーザーが独自にアレンジした”ネタ”作品のこと。意図的にユーザーに捜索を促す、ミームマーケティングという言葉も存在する。
STEPNの施策年表一覧(時系列順)








以上が2022年7月中旬までのSTEPNの歴史です。
これらの年表が、どのような意図で行われたのか、次のマーケティング施策や、Discord運営ノウハウの章で、詳しく見ていきます。
【第三章】STEPNのマーケティングとDisocrd運営ノウハウ

Web3におけるマーケティングの重要ポイント
Web3ゲームと既存ゲームの大きな違いは、「ユーザーの利確による売り圧が存在する」という点にあります。
直近はほとんどのユーザーのプレイ目的が「稼ぐこと」なっているWeb3ゲーム業界において、ユーザーの数を増やすことにのみ注力してしまうと、稼いだトークンのほぼ全てが利確に回り、あっという間に経済圏が縮小・崩壊してしまいます。
例えば、Web3ゲームの第一人者であるAxie Infinityは、スカラーシップ制度の導入で爆発的にユーザーを増やしましたが、増えたユーザーの多くはスカラーとしてお金を稼ぐことを目的としていたため、稼いだトークンのほとんどが利確に回り、数ヶ月で経済圏が崩壊してしまいました。

このような事態を避けるには、経済圏を維持できるだけの新規ユーザーを長期に渡って獲得し続けつつ、運営とユーザーの距離を近づけて、ユーザーから応援される、簡単にユーザーが離れないプロジェクトになる必要があります。
STEPNは、この点をうまく考慮したマーケティングを展開していました。
STEPNのマーケティング施策ピックアップ
STEPNはコミュニティ運営能力が高く、それがGameFiにおいて大事な要素の1つである「運営とユーザーの距離の近さ・信頼関係」に繋がっています。
彼らは、初期からインフルエンサーに頼ったマーケティングは行わず、独自のイベントを数多く展開することで、 ゲームコミュニティの基盤を厚くし、ユーザーが自走して発信を行い、自ずとその名前が広がっていくような取り組みを行なっていました。
★経済圏の基盤を厚くするマーケティング施策
・毎週定期でAMAを開催
・バグ報告でスニーカーNFTをエアドロップ
・クイズコンテスト。正解者の中から抽選でスニーカーNFTをエアドロップ(1時間に1問ずつで1日24問)
・ミームツイートコンテストで当選者にはスニーカーNFTをエアドロップ(Discordで2日に1回当選発表)
・オーストラリアでチャリティランニングイベント開催
・Discordのロール保有者限定のスニーカーNFTエアドロップ企画
・アドヴォケイト(インターンヘルパー)を募集
・初期ユーザーを対象としたGSTの2倍獲得イベント
・初期ユーザーを対象としたGMTエアドロップ
STEPNが毎週欠かさずAMAを開催していた理由

STEPNは、β版のテストが始まった2021年12月からDiscordで毎週の定期AMAを行っています。
ゲームがローンチされた直後からユーザーとの直接的な交流を重視し、ユーザー数が10万人単位になっても、プロジェクトの中心人物が表に立って、毎週AMAを続けてきました。
Web3においてユーザー(≒トークンホルダー)と運営との距離感の近さは非常に重要です。
ゲーム開発者のビジョンや理念に共感しているコアなファンを作っていかないと、すぐにトークンが売られてしまい、経済圏の長期的な成長が見込めないからです。
ここを怠って、インフルエンサーに広告させるのみだと、ユーザーとの信頼関係を築くことができず、収益性が悪くなったり、仮想通貨市場の市況感が悪くなったり、より稼げる競合アプリが出てきたりした時に、すぐにユーザーが離れていきます。
STEPNのように、しっかりとコミュニティ基盤を作っているゲームは、経済圏にとって少し悪いニュースがあっても、ユーザーが運営を信じているため、トークンを売り出すことが少なく、持ち堪えることができます。
反面、STEPN経済圏が崩壊したあとは、運営とユーザーとの間にコミュニケーションの齟齬が生まれてしまい、AMAが対立の場となってしまった、という事実もあります。
この点に関しては、後述の経済圏の崩壊の方で詳しく説明します。
とはいえ、それでもTwitter上でSTEPNを応援する声が多いのも事実です。これは地道なAMAの開催の成果であると言えるでしょう。
初期NFTのギブアウェイを活用して、Discordでの交流を活発化させた

次に注目すべきは、イベントの中に、運営とユーザーが接触する場面が意図的に多数配置されていることです。
例えば、バグ報告やミーム作成、ブログやYouTubeでのコンテンツ発信などの各種スニーカーNFTギブアウェイイベントは、さまざまな属性のユーザーに初期NFTを配る機会となりました。
多様なユーザーに初期NFTを獲得する機会を与え、かつプロダクトの改善や盛り上げに貢献させたことで、多くのユーザーをDiscordに巻き込むのに成功しています。
またGiveawayの当選者発表は、2日に1回のペースで、Discord内で行われていました。
全当選者をまとめて発表するのではなく、あえて2日に1回のペースで少しずつ発表することで、ユーザーは短い間に何度もDiscordに訪れるようになり、自然とDiscordでコミュニケーションを取ることが当たり前になっていくよう設計されていました。
同様に、正解者の中から抽選で当たった人にスニーカーNFTがギブアウェイされるクイズイベントでも、クイズと当選者の発表は1時間ごとにDiscordで発表しており、ユーザーを頻繁にDiscordに訪問させる仕組みになっていました。
その他、オフラインのチャリティイベントを開催して暗号資産やゲームに慣れ親しんでいない層とのコミュニケーションを図ったり、Discordのロール保有者限定のGiveaway企画を開催したりと、運営とユーザーのコミュニケーションを活発にすることで、両者の距離を縮めていきました。
その結果、新規を爆発的に増やしながらも、トークンの利確を防ぎ再投資に回るようなロイヤリティの高いユーザーコミュニティを形成することに成功しました。
ユーザーを巻き込んだロール設計(アドヴォケイトとアンバサダーの採用)
-1.png)
STEPNのコミュニティ形成に大きな役割を果たしたのがDiscordです。
前述の通り、Giveaway企画によるユーザーとの交流もそうですが、ロール設計も非常に考え抜かれたものでした。
★STEPNのDiscordのロール設計
Discordのロール設計で秀逸だったのは、コミュニティのマネージメントを、アドヴォケイトやアンバサダーといったロール(役割)を付与した一般ユーザーに任せていったことです。
このアドヴォケイトとアンバサダーの存在が、Discordの内と外をつなぐ、大きな役割を担っていました。(最初は、インターンヘルパーというポジションで募集し、それが後に分岐していった形です)
STEPNのDiscordのロールには、アドヴォケイトとアンバサダーという特徴的なロールがあります。
アドヴォケイトは、主にDiscord内部の交通整理、ユーザーの疑問解消など、いわゆるモデレーターという役割を担う人たちです。
アンバサダーは、主に外部に向けて、STEPNのミッションを深く理解し、新しいアップデートの内容を正確に伝える役割を担っています。
STEPNは、この重要な役割を内部のリソースから出さずに、ユーザーから採用したのです。
これにより、運営とユーザーの橋渡し、潤滑油として機能する、自走的なコアユーザーを作り出すことに成功しました。
例えば、日本人アドヴォケイトとして有名なのは、「とっとこBurn太郎」さんという方です。
とっとこBurn太郎さんは、Discord内の調整に加えて、リアルイベント企画をし、STEPNユーザー同士を繋いで、日本のユーザーコミュニティの発展に貢献されていました。
日本のアンバサダーは、「Ling.eth」さんと「ばべぷと」さんがいます。(Ling.ethさんは、6/24に諸事情によりアンバサダーを辞退)
情報の更新頻度が激しいSTEPNにおいて、運営の施策や意図を正確に日本語にして、日本人コミュニティに向けて情報発信し続けていました。
GameFiプロジェクトは、どうしてもフォロワー数の多いインフルエンサーの発言力が大きくなりがちなため、そこには個人の主観や意見も混ざりがちです。
アンバサダーには、そういった個人の主観はできるだけ排除し、プロジェクトを純粋な気持ちで応援するユーザーが、書類選考や面談を経て、慎重に採用されています。
YouTuberやブロガーなどの情報発信者は、アンバサダーの情報を一次情報として見るため、もし自社のプロジェクトにアンバサダーを採用する際には、最新の注意を払う必要があります。
ゲーム会社、NFTプロジェクトオーナーが使えるマーケティングノウハウ
ここで一旦、マーケティング施策とDiscord運営についてまとめます。
STEPNがマーケティングにおいて重視したことを端的にまとめると、「ゲームのリリースの前から、ユーザーと積極的にコミュニケーションを取り、コミュニティ基盤をとにかく強化する」ということです。
Web3において、コミュニティビルディングはトークノミクスと合わせて、非常に重要な開発プロセスです。
Web2にもゲームコミュニティは存在していますが、Web3はユーザーが「トークンを持っている」という点が、大きく異なる点です。
運営が失策をして、ユーザーからの信頼を失うと、トークンへの巨大な売り圧となり、再起不可能なレベルにまで経済圏が壊れてしまう危険性があります。
どんなに面白く、トークノミクスが緻密に設計されたゲームを作れたとしても、運営に「あそこはダメだ、信用できない」というイメージがついてしまったら一巻の終わりです。
LGGでは、Web3のコミュニティ運営を、「ユーザーと運営の距離感」 ×「運営への信用度」 × 「STORYへの共感度」という3つの指標に要素分解しています。

STEPNに当てはめて考えると、ユーザーと運営の距離感を縮めるため、初期NFTをただばら撒くのではなく、Giveaway企画を通じて、バグ報告やミーム作成、コンテンツ配信を行ったユーザーに幅広く渡しています。
これにより、NFTを貰ったユーザーがゲームに愛着をもち、そのあとも継続的にゲームをプレイしたくなっている状態になっていることがポイントです。
特に、ユーザーにNFTをブリードさせてマーケットプレイスを作っていく手法においては、配ったNFTから新しいNFTがミントされていかなければ意味がありません。
加えて毎週欠かさず行なったAMAやDiscordに、創業者(JerryとYawn)が頻繁に顔を出してユーザーの疑問に答えていたのは、運営への信用度を上げることに大きく貢献しています。
さらに、アドヴォケイトやアンバサダーは、STORYへの共感度を高めるためのミッション・ビジョンの共有、初心者が入りやすいコミュニティの交通整理など、上記の3要素をカバーするような動きを任されていました。
この視点をもって、再度冒頭の年表を振り返って見ると、STEPN運営の意図が浮かび上がってくるはずです。
ぜひ、もう一度上に遡ってみてみてください。
【第四章】STEPNのトークノミクス概略

さて、ここからはSTEPNのトークノミクスの説明に入ります。
このトークノミクス設計の秀逸さが、STEPNが他のゲームと一線を画した要素です。
それでも結果的には経済圏の低迷を招いてしまい、不十分な点も見えてきました。
STEPNトークノミクスの設計上の秘密と、何が足りなかったのかをここから考察していきます。