AMAで押さえておくべきポイントと具体的な設計方法

Web3ゲームは、ユーザーに完成品を届ける従来のゲームとは異なり、ユーザーからのフィードバックを受けながらユーザーと一緒にゲームを開発していくプロセスが重視されます。

そのため、Web3プロジェクトでは、運営とユーザーの距離を近づけて、ユーザーから応援され、簡単にユーザーが離れないコミュニティ基盤を作る必要があります。

コミュニティ形成をする中で、AMAは運営とユーザーの間のコミュニケーションを円滑にして溝をなくし、信頼関係を構築する重要な役割を果たします。

特にゲーム開発者はAMAを上手に機能させることで、ユーザーとの接点を広げ、ロイヤリティを高め、強固な経済基盤を形成することができます。

本記事では、

  • Web3ゲーム開発を進めるにあたってのAMAの重要性
  • 現在のAMAの課題点
  • 実際にAMAを開催するための準備や企画・運営する際に気をつけるべきこと
  • AMA開催の成功事例

などWeb3におけるコミュニティ運営に欠かせないポイントなど網羅的に解説していきます。

今後NFTプロジェクトを取り組もうとしている企業様や、Web3の技術を取り込んで事業をされようとしている企業様にも参考になる内容になっています。

AMA(Ask Me Anything)とは?

AMAとは

AMAとは「Ask Me Anything」の略です。

Web3ゲームにおいて、運営がTwitterスペースや、Discordのボイスチャンネル上で、一般ユーザーが気軽になんでも質問できるユーザー参加型のLive企画を意味します。

このAMAの開催はマーケティング上、非常に重要な意味を持ち、プロジェクトの命運を握るといってもいいほどの影響力があります。(しかし多くのWeb3ゲームタイトルはこの影響力を軽視しています)

Web3におけるAMAの重要性

Web2とWeb3のゲームにおける大きな違いの一つに「ユーザーからの売り圧」の要素があります。

運営がファンコミュニティを裏切るようなことをすると、 トークンやNFTの急激な売り圧につながり、一気に経済圏が萎んでいきます。

一度トークン経済圏が崩れ、ファンの信用を失うと、次に出すゲームタイトルにも影響を与えます。

ユーザーがトークンもしくはNFTを購入して始めるWeb3ゲームでは、開発状況や経済状況は常に気になるものです。

ユーザーの過剰な利確を回避し、適切な消費を促すためには、AMAでユーザーとの接点を積極的に持ち、コミュニティを安定させる必要があるのです。

【経済圏の安定剤】AMA開催の4つのメリット

AMAには、経済圏を安定させる効果があります。

ゲーム会社がAMAを開催することで、経済圏を安定させられる理由は、大きく分けて4つあります。

AMAが経済圏を安定させる4つの理由

1. 運営とユーザーとの距離感・信頼関係を構築できる
2. 運営のミッションやビジョンを伝えられる
3. 自走するファンコミュニティを形成できる
4. マーケティングにおいて強力なツールとなる

1. ユーザーと信頼関係を構築できる

AMAを開催するべき一番の理由は「ユーザーとの信頼関係構築」です。

AMAを上手に機能させることで、ユーザーとの接触、ロイヤリティを高め、強固な経済基盤を形成することができます。

AMAを定期的に開催して「今どうなってるの?」というユーザーの興味関心に応え、不安を丁寧に解消することで、ユーザーとの信頼関係を築くことができます。

ここを怠って、運営側から一方的にアナウンスをするだけでは、ユーザーとの信頼関係を築くことができません。

収益性が悪くなったり、仮想通貨市場の市況感が悪くなったり、より稼げる競合アプリが出てきたりした時に、すぐにユーザーが離れていきます。(そして多くのWeb3ゲームが実際にそうなっています)

2. 運営のミッションやビジョンを細かく伝えられる

コアユーザーを増やすためには、運営がミッションやビジョンをゲームコミュニティ内外に向けて何度も発信し、顧客ロイヤリティを高めることが重要です。

プロジェクトの立ち上げ時期や、急激にフォロワーが増えたときなどに、

・ホワイトペーパーで表現しきれないミッション
・運営が作りたいと思っている未来のあり方
・トークン価格を安定させる施策の有無

などを丁寧に説明し、プロジェクトに対する誤った理解や憶測を払拭することで、すぐにトークンが売られ、経済圏が崩壊するのを防ぐことができます。

3. 自走するファンコミュニティを形成できる

このように丁寧なAMAを繰り返していくことで、ユーザーのエンゲージメントが高まり、ユーザー同士の自走的な交流・発信が生まれます。

運営側が細かく指示を出さなくても勝手にTwitterで発信してくれたり、ブログを書いてくれたり、Youtubeで解説動画をあげてくれるようになります。

コミュニティの熱量の上昇に伴って、プロジェクトの認知度も上がり、新規ユーザーを呼び込めます。

新しく参加したユーザーは、コミュニティの自走的なサポートを受けるため、ほぼ自動的にエンゲージメントが高まっていきます。

このように、稼げるー稼げないに関わらず、プロジェクトを応援してくれるファンを作ることで、安定した経済圏を形成していく事ができます。

4. マーケティングにおいて強力なツールとなる

AMAの開催はマーケティングにおいても強力なツールになります。

前述の通り、プロジェクトの認知度向上はもちろんのこと、ユーザーロイヤリティの向上や、ユーザーの課金率・課金額の増加が期待できます。

そのためには、プロジェクトの開発状況に合わせて、それぞれのタイミングでのユーザー心理に沿ったAMAを定期的に開催することが必要です。

なぜSTEPNはAMAの開催を毎週続けていたのか?

STEPNでは、このAMAをマーケティングの一環に組み込み、毎週一回、創業者が直接ユーザーの疑問に答えていました。

AMAでの発言内容から、多くのインフルエンサーやメディアが、さまざまな考察を考えて、その内容をTwitterやYouTubeで発信したおかげで、GameFi業界にも大きなインパクトを与えたプロジェクトの一つとなりました。

地道なAMAの開催によってコアなユーザーを作り出し、STEPNを長くプレイしてもらう工夫をしてきたことはコミュニティ運営においても参考にすべき事例です。

Web3コミュニティ運営に重要な3つの指標

LGGでは、Web3のコミュニティ運営を「ユーザーと運営の距離感」 ×「運営への信用度」 × 「STORYへの共感度」という3つの指標に要素分解しています。

STEPNに当てはめて考えると、ユーザーと運営の距離感を縮めるため、初期NFTをただばら撒くのではなく、Giveaway企画を通じて、バグ報告やミーム作成、コンテンツ配信を行ったユーザーに幅広く渡しています。

去年の12月頃から毎週欠かさず行なったAMAでは、創業者(JerryYawn)が頻繁に顔を出してユーザーの疑問に答えていたのは、運営への信用度を上げることに大きく貢献しました。

ユーザーに対してプロダクトのミッションを再三語り、誠実な対応を見せ続け、ユーザーと一緒にゲームを作り上げてげていく、という強い意志をもって取り組んだ良い事例です。

AMAの頻繁な開催が、コミュニティの結束力を高めた

さらに、アドヴォケイトやアンバサダー(※)は、STORYへの共感度を高めるためのミッション・ビジョンの共有、初心者が入りやすいコミュニティの交通整理など、上記の3要素をカバーするような動きを任されていました。

その結果、愛着心やロイヤリティが高い人が多いプロジェクトになり、コミュニティの強い結束力を実現しています。

だからこそ、このGST・GMTが下降している局面にあっても、アプリを手放さずに応援を続けていたユーザーも多く、この点はAxie Infinityに通じるものがあります。

(※)STEPNによって公式に選出された、コミュニティ運営を担うユーザーの呼称。アドヴォケイトは主にDiscordの運営を、アンバサダーは外部への正確な情報発信の役割を担っている。

AMAによってユーザーの心が離れた瞬間もあった

反面、STEPN経済圏が崩壊したあとは、運営とユーザーとの間にコミュニケーションの齟齬が生まれてしまい、AMAが対立の場となってしまった、という事実もあります。

これは、AMAの本来の役割を忘れ、ユーザーに寄り添った内容を企画できていなかったことが理由です。

AMAは、運営が話したいこと話す場所ではなく、ユーザーが聞きたいことをユーザー心理に沿って伝える場所です。

多くのプロジェクトがここをはき違え、誤ったやり方でAMAを開催しています。

既存のAMAが抱える課題

AMA開催の課題

現在TwitterやDiscordで開催されているAMAは、いくつか課題を抱えています。

AMAを開催することで、かえってユーザーの心が離れてしまうこともあります。

ここからは、既存のAMAが抱える課題を指摘し、AMAを開催するまでに解決しておくべき点をお伝えします。

既存のAMAが抱える課題

1. 低クオリティなAMAが開催されている
2. ユーザーが本当に知りたいことを提供できていない
3. 集客できていないのに開催されている
4. 開催頻度のバランスが悪い

1. 低クオリティなAMAが開催されている

ノウハウ・準備不足による低クオリティなAMAが開催されると、プロダクトへの信頼度が下がります。

とりあえずAMAをしよう!と場当たり的に開催してしまうと、ユーザーにFUD(※)や嫌悪感を抱かせてしまい、経済圏に致命的なダメージを与えかねません。

そのためWeb3ゲーム運営は、AMAを開催する目的を明確にし、ユーザーに対してプロダクトのミッションを再三語り、誠実な対応を見せ続け、ユーザーと一緒にゲームを作り上げていく、という強い意志をもって取り組まなくてはなりません。

AMAの運営にはそれだけのコストがかかるものであり「他もやっているし、とりあえず俺らもやっておくか」という態度で臨んではいけないものです。

既存ユーザーのロイアリティーを高めファンになってもらうためにも、事前の準備を怠ってはなりません。

※Fear(恐怖)、Uncertainty(不安) 、Doubt(疑念)の頭文字をとった、ユーザーのネガティブな心理の総称。

2. ユーザーが本当に知りたいことを提供できていない

「Ask Me Anything」とは言っているものの、ユーザーが聞きたいことに対し何でも答えたり、感情的なメッセージを伝えてしまうと、参加者を混乱させてしまいます。

ユーザーの関心が今どこに向いているのか、ユーザーニーズのどこを切り取れば満足してもらえるかを考えて実施する必要があります。

時には、ユーザーからの心無いクレームにさらされることもあります。

そういったとき、運営は「どうして理解してくれないんだ」とユーザーを批判する立場を取りやすくなります。

しかしユーザーの不満にはそれなりにきちんと理由があります。ユーザーの感じている疑問や質問に丁寧に答えていくことが、経済圏の安定や持続性につながっていきます。

3. 集客できていないのに開催されている

集客できず、少人数に対してAMAが開催されていることがあります。AMAに参加したユーザーも「人気のないプロジェクトなんだ」と認識し、ブランドが毀損されてしまう可能性もあります。

影響力のない、時間対効率が低いAMAとならないように、内容はさることながら、集客にも力を入れる必要があります。

具体的な集客方法は「AMAを開催する上で押さえておくべきポイント」でお伝えしますが、集客は企画・進行と同様にAMA開催において重要なポイントです。

4. 開催頻度のバランスが悪い

緻密に設計されたAMAと設計が不足したAMA

AMAの開催の頻度は多すぎても少なすぎてもいけません。

頻度が多すぎると、プロダクトの開発や、運営リソースを逼迫することになります。逆に、頻度が少なすぎるとユーザーの興味が薄れ、コミュニティ全体の熱量が下がってしまいます。

AMAは緻密なマーケティングの設計をした上で開催する必要があります。

AMAを開催する上で押さえておくべきポイント

AMA開催のポイント

ここまで解説してきた通り、Web3ゲームプロジェクトを成功させる上でAMAは重要な位置を占めます。
ここからは準備から当日の進行までの流れに沿って、各工程のポイントを紹介します

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