「インフルエンサーマーケティング」とはインフルエンサーと協力し、ブランドイメージやサービスの価値などを顧客に伝えていくマーケティング手法を指し、昨今のWeb3業界では一般的な手法になってきています。
今やWeb3プロダクトにとって、「インフルエンサー(KOL)」はマーケティングに欠かせない存在です。
特にWeb3業界では、GoogleやFacebook、Twitter、Instagramなど、デジタル広告の大手プラットフォームが、ブロックチェーンゲームや仮想通貨の広告配信を禁止している(2022年10月現在)ため、プロジェクトの認知を獲得するのにインフルエンサーに頼らざるをえない、という背景があります。
一方でインフルエンサー側から見ると、有象無象のプロジェクト拡散依頼が日夜何通も届いており、それらのプロジェクトにはラグプル(詐欺案件)も多くあったことから、案件を受けるのに慎重になっています。
そこでインフルエンサーマーケティングを効果的に成功させるためには、以下のようなことが重要になってきています。
★Web3インフルエンサーマーケティングを成功させるコツ4選
・抱えているフォロワーの特性を理解したインフルエンサー選定を行うこと
・インフルエンサーとの継続的な人間関係を築くこと
・受けてもらいやすい案件の依頼方法を知ること
・インフルエンサーごとのリンクを発行し、正確な効果検証を実施すること
Web3のインフルエンサーマーケティングについては、まだまだ王道の成功法が確立されているわけではありません。
しかし、上手くいかない方法はある程度、洗い出されてきているようにも感じます。
本記事では「インフルエンサーマーケティングの基本的なポイント」から、「インフルエンサーに受けてもらいやすくなる案件の特徴」まで、一気通貫して解説いたします。
貴社のインフルエンサーマーケティングの成功確率を1%でもあげるお手伝いになれば幸いです。
目次
インフルエンサーマーケティングにおけるメリット
最初に、インフルエンサーマーケティングのメリットから解説していきます。
・ターゲットを絞ってリーチすることが可能
・他の広告媒体よりも高いエンゲージメントを期待できる
・プロジェクトのコミュニティ拡大の起爆剤になる
・マスメディアを介したマーケティング施策よりも数値化することが可能
1.ターゲットを絞ってリーチすることが可能

インフルエンサーをインフルエンサーたらしめる要素の一つはフォロワー(≒ファン)数です。
彼らはフォロワーを中心とするコミュニティを築いており、興味関心や価値観が似通っているという特徴があります。
そのため、インフルエンサーの属性を正確に見極めることができれば、特定のターゲットに対して容易にリーチすることができます。
一般的なWEBメディアを介したマーケティングでも類似した考え方を行いますが、インフルエンサーの場合は、コミュニティ属性が明確に分かれるため、よりターゲティングを行いやすい、というメリットがあります。
LGGでは、上図のようにBCGユーザーのペルソナを9分類していますが、インフルエンサーごとに抱えているフォロワーの属性も、同様の分類にわけることができます。
そのため、
- Aというインフルエンサーは、トレーダーよりの発信(ロングポジション、ショートポジション、トークンの価格推移の投稿など)が多く、トレーダー属性のフォロワーを抱えている
- Bというインフルエンサーは、ゲームのランキングボードに載ったことや、ゲーム攻略情報の発信が多く、トップゲーマー属性のフォロワーがよく見ている
といった偏りが起こります。
そこで、訴求したいゲームの魅力に沿ってインフルエンサーを選定することで、ユーザーの嗜好性にあったターゲティングをすることが可能になります。
※Web3プロジェクトにおけるユーザーペルソナに関しては別記事「ユーザーペルソナから見るWeb3ゲームマーケティング虎の巻」をご覧ください。
2.他の広告媒体よりも高いエンゲージメントが期待できる
1と通じる要素で、インフルエンサーは自身のコミュニティに対してより強いエンゲージメントを発揮します。
フォロワーは、インフルエンサーに対して親近感や憧れを持っており、その結果としてインフルエンサーの発信に良くも悪くも強い影響を受けます。
そのため、インフルエンサーに正確にプロジェクトの価値を伝え、彼らに推奨してもらうことができれば、マスメディアを介したマーケティングよりも訴求効果が高くなります。
先述の通り、Web3プロジェクトはまだまだ未開拓のマーケットであり、潜在ユーザーに対してより深く訴求する必要性を鑑みると、マスメディアを介したマーケティングよりもインフルエンサーマーケティングがよく採用される理由がよくわかります。
3.プロジェクトのコミュニティ拡大の起爆剤になる
Web3プロジェクトは運営とユーザーの信頼関係が非常に重要です。運営がコミュニティを形成し(※)、ユーザーとの密なコミュニケーションを通して、信頼関係を醸成していくことになります。
ただし、運営が0からコミュニティを立ち上げ、拡大していくことは非常に難易度が高いことも事実です。
そこで、インフルエンサーからの発信を通して潜在ユーザー層への認知拡大を行うことで、プロジェクトコミュニティの初期形成・初期拡大を促進することができます。
さらに信頼関係を築いたインフルエンサーであれば、プロジェクトのファンになってもらうことができ、継続的にコミュニティへ人を連れてきてくれたり、コミュニティを盛り上げてくれたりします。
Axie InfinityやSTEPNは、プロジェクトへの注目度が高かったということもありますが、勝手にインフルエンサー化していくユーザーが数多くいました。
コミュニティからインフルエンサーを育てることは、コミュニティの設計を綿密に行うことで、ある程度再現性をもって実現することが可能です。
※Web3プロジェクトにおけるコミュニティの重要性に関しては「誰も教えてくれないDiscordコミュニティの設計書」をご覧ください。
4.コミュニティビルディングとの相乗効果を生み出す
インフルエンサーマーケティングは、一般的なWebマーケティング施策(モバイル広告等)と比較すると数値化が難しいというデメリットがあります。
既存のモバイル広告のように、SDKを通じてCPIなどを測定できないからです。(インフルエンサーごとの登録コードや限定URL等を利用して、インプレッションや動画再生に対するCVRを測定することは可能)
一方で、インフルエンサーを活用したマーケティングは、プロジェクトの認知度を高め、ユーザーの購買意欲を高めることが、さまざまな調査で認められています。
中でもWeb3プロダクトは、コミュニティビルディングが鍵となるため、インフルエンサー(マイクロインフルエンサーなどの小規模なインフルエンサーを含む)との相性がとても良いです。
Axie InfinityやSTEPNなどの人気のプロジェクトをみても、ゲーム内で影響力を持つインフルエンサーの投稿によって、消費者の購買意欲が大きく動くシーンが多くみられました。
これらのインフルエンサーによる発信は、コミュニティの熱量に直結するため、インフルエンサーをコミュニティビルディングに巻き込んでいくことで相乗効果を狙うことができます。
もちろん、他のWebマーケティング施策と連動させることでより高い効果を生み出すことができます。
インフルエンサーマーケティングにおけるリスク

一方で、インフルエンサーマーケティングは、丁寧に行わないと風評リスクにつながる恐れもあります。
主には、次の2点で注意が必要です。
★風評リスクが発生してしまうケース
・案件の相談方法や情報開示具合で、逆に「怪しい」と思われてしまう
・実態にそぐわない誇張されたPRをされて、ユーザーの誤解を招く