
Discordは元々既存のオンラインゲーマーの間で普及したSNSです。
そこから、暗号通貨系のコミュニティ形成に使用され、Web3プロジェクトにおいても裾野が広がってきています。
今では多くのWeb3プロジェクトがDiscordに公式サーバーを構築しています。
しかし、日本人やDiscord初心者が使いやすい設計になっているサーバーはあまり多くありません。
特に日本では、Discord自体が普及していないため、丁寧にオンボーディング設計を作り込まないと、せっかく参加してくれたユーザーを取りこぼすことになります。
これは運営とユーザーの信頼関係が重要になるWeb3ゲームにおいては致命的な課題です。
本記事では
- 一般的なDiscordサーバーの実態
- オンボーディングに必要な心得
- LGGでの取り組み事例
を中心にDiscordにおけるカスタマーサクセス実現に向けたオンボーディング設計の要点を解説していきます。
※Discordの概要等の基本的な内容は別記事「誰も教えてくれないDiscordマーケティングの設計書」をご覧ください。
この記事の目次
一般的なDiscordサーバーのエントランス
最初に、一般的なDiscordサーバーがどうなっているのかをイメージしてもらうために、70万人程度の参加者を誇るAxie Infinityのサーバーを例にご説明いたします。(Axie Infinityはユーザーのメインターゲットが日本人ではないため、Axie Infinityのサーバー設計が悪い、という話ではありません。)
公式HPからDiscordサーバーへの招待を受け、参加した後の画面はこのような内容になります。

Discordにはチュートリアルのようなものはなく、参加した瞬間からの行動は全てユーザーに委ねられます。
言語設定を日本語にしていたとしても、チャンネル名などはサーバー側に依存するため、英語表記のままになっています。
英語への苦手意識が強い日本人ユーザーの多くは、この画面を見ただけで「よく分からないもの」として離脱しかねません。
また、英語話者であったとしても、初めてDiscordを利用するユーザーにとっても何をすればいいのかが、分かりにくい構成になっています。
日本人は最初に何をすればいいのか分からない
実際に利用するための次のステップとしては、画面上部の「このサーバーでおしゃべりを始める前に、もういくつかのステップを完了してください。」から利用規約への同意を行う必要があります。

ほとんどのサーバーで同様のステップを踏む必要があるため、ユーザーには慣れてもらうしかないポイントです。しかし、英語表記のみのままだと、日本人ユーザーにとっては心理的なハードルになります。
このステップを経てサーバー内でチャットを行えるようになりますが、どこで何を話しているのか、という点は引き続きわからないままです。
Discordの仕様としてユーザーが参加しているチャンネルが画面左端に列挙されます。

チャンネル名は運営側に依存しますが、Axieは海外法人が運営するWeb3ゲームということもあり、全て英語表記です。そのため、各チャンネルの内容は実際に中身を見なければ判然としません。
「#getting-started」というチャンネルに始め方のような内容がありそうなので覗いてみても、「ゲームをどう始めるか」を取りまとめてあるだけで、このDiscordサーバの各チャンネルに関する説明ではありません。

ユーザーは各チャンネルの内容に関しては自分でそれぞれ確認する必要があり、これはDiscordに慣れていないユーザーに対して不親切な設計と言わざるを得ません。
特にDiscordにも英語にも不慣れな日本人にとっては、使いにくい仕様であると言えます。
日本人に向けたDiscord入口設計の4STEP

今回はAxie Infinityを例に取りましたが、多くのWeb3ゲームのDiscordサーバはこの状況が一般的です。
日本は人口こそ少ないものの、ゲーム市場で大きな比重を占める国です。
日本人プレイヤーを対象にゲーム開発するのであれば、もっとユーザーにとってわかりやすい設計にする必要があります。
仮に英語が分かる日本人であったとしても、いくつもあるチャンネルから見たいチャンネルを探すというオペレーションはユーザーファーストな設計であるとは言えません。
そのため、本記事をお読みの皆様には、特に日本人ユーザー向けに必要な観点も含めて解説いたします。
Discord入口設計の4STEP
1. ウェルカムボードに日本語と英語を併記する
2. Welcomeチャンネルから使い方ガイドに流す
3. 表示させる言語を選択させる
4. 一言目を発言しやすいチャンネルを設ける