Phantom Galaxiesは、Animoca Brandsの完全子会社であるBlowfish Studiosが開発していることから注目を集めています。
東京ゲームショウにも出展されており、気になっている人も多いのではないでしょうか?
現在、『Phantom Galaxies』のアルファ版のアクティブユーザーは125,000人以上おり、50万人以上がアルファ版ゲームへのアクセス権を付与したNFTを所有しています。
これらのNFTは、OpenSea上で1,700ETHを超える取引量を生み出しています。
公開情報がライトペーパーとアルファ版のアップデート内容のみですが、現時点で注目すべきポイントがあります。
【ポジティブな面(期待できる点)】
- α版のアクティブプレイヤーが12.5万人を超えている
- Web2ゲームと比べても遜色のない綺麗なグラフィックと操作性
- IDOを行っていない
【ネガティブな面(課題となる点)】
- プレイにPCもしくはPS4、Xboxが必要となり参入障壁が高い
- 収益につながらない消費要素がどれほどあるか未知数
- 競合となる同ジャンルのゲームに比べてコミュニティメンバーが少ない
このレポートではこれらの点を踏まえながら、
なぜこのゲームに注目すべきか?課題に対してどのようなアプローチが考えられるのか?
について考察していきます。
開発者視点での学びPOINT
- ・IDOを行わず、自社もしくは親会社等の資金で開発運営を行うメリット
- ・ハイススペックな高クオリティゲームを開発する際のマーケティングのコツ
ユーザー視点での学びPOINT
- ・十分な開発資金を持っているゲームは、長期的な開発による成長を見越しておく
- ・トークンやNFTのセールにBot対策を行い、ユーザーに還元される仕組みを考えているプロジェクトは評価できる
この記事の目次
プロジェクト概要
Phantom Galaxiesはプレイヤーがガンダムのようなロボットを操縦し、ストーリーやバトルを楽しめる三人称視点の3DアクションRPGです。
スターファイターと呼ばれるロボットを操縦し、敵を倒していく3DアクションRPGです。
スターファイターにはアサルト/バスター/ランサー/ブリ―チャーの4タイプがあり、それぞれ得意な戦闘スタイルが存在します。
プレイヤーは自分の分身でパイロットとなるアバターを育成したり、最適なスターファイターを選択したり、カスタマイズしたりしながら、様々なステージを攻略していきます。
また『惑星』と呼ばれる自分自身の土地を所有することができ、その惑星を開発していくクラフトの要素も備えています。
ロードマップ
2022年9月にガバナンストークンである「Astrafer」が分散型取引所の「QuickSwap」に上場しています。
それと共に、ゲーム内でトークンを獲得できるようになりました。
2023年1月~3月にはβ版を公開予定です。
運営会社、運営メンバー

Blowfish Studios
シドニーに拠点を置くゲーム開発・販売会社で、これまでに「Qbism」、「Siegecraft」、「Morphite」、「Projection」といったゲームをリリースしています。
累計250万以上のプレイヤーがこれらのゲームをプレイしており、おもしろいゲームを作るノウハウ、実績は十分です。
主な出資者・パートナー

Animoca Brands
香港を拠点とするWeb3.0 企業「Animoca Brands」が100%の株式を持つ完全親会社となっています。
評価額は50億ドルを超えており、The SandboxやAxie Infinityなど340以上のNFT企業・プロジェクトなどへ投資しています。
Financial Timesの「アジア太平洋地域の高成長企業リスト2021」にもランクインしました。
トークン情報
$Astraferの情報

- トークン名:Astrafer
- 発行上限:888,077,888枚
- 時価総額:$47,629,757
- 価格:$3.39(9/4時点)
- 上場取引所
- DEX・・・QuickSwap
- 種類:ガバナンス/ユーティリティ
- チェーン:Polygon
- 獲得方法
- PvE
- PvP
- NFTの販売
- 惑星(NFT)の保有
- QuickSwapでのスワップ
- 使用ポイント
- NFTの購入
- NFTの製造、カスタム
- 惑星やギルドへのステーキング
IDOではなくNFTのパブリックセールでトークンを市場に展開
親会社であるAnimoca Brandsが潤沢な資金を持つため、Phantom Galaxiesはガバナンストークンを販売する形でのIDOを行っていません。
その代わり、一定量のASTRAFERが割り当てられた惑星NFTをセールする形で、実質上のIDOを行いました。
惑星NFTからは、最低限のASTRAFERを排出が約束されていますが、実際にゲームプレイを行うことでその排出量を高められる設計になっています。
裏を返せば、ゲームを頑張ってプレイしたユーザーでないと、トークンをしっかりと獲得することができないということです。
加えて、本物のユーザーしかセールに参加できないように、ゲーム内コンテンツをクリアした初期ユーザーに、セール参加チケットNFTを配っています。
そのため、これまでのIDOで問題視されていた、Botの買い占めによる急騰と急落を防止することに成功しています。

この点は他のWeb3ゲームと異なり、非常に興味深い施策です。
その代わり、トークンアロケーションで、惑星からの排出量を29.1%確保しており、惑星NFTを購入したユーザーに時間をかけてゆっくり排出されていきます。(べスティングのスケジュールは公開されていません)
この惑星NFTのプライベートセールは、1日で1930万ドル分が購入されるという盛況ぶりでした。(Animoca Brandsの報告記事はこちら)
$Astraferのトークンアロケーション

- 29.12%:惑星(NFT)からの排出
- 16.96%:予備資金
- 13.51%:PvE
- 10.00%:開発チーム
- 10.00%:流動性プール
- 20.40%:その他
- 7.00%:マーケティング
- 6.00%:エコシステム
- 5.00%:launch contribution
- 2.40%:PvP
ユーザーと運営の収益ポイント
ユーザーの収益ポイント
ユーザーが収益を得る(Astraferトークンを獲得する)ポイントは、現在判明している限り4つ存在します。
①PvE
②PvP
③NFTの販売
④惑星(Asteroid・Planet)の保有
①PvE
α版の時点では「Astrafite Rush」呼ばれるイベントをクリアしたり、イベント内で特定の条件を満たしたりすることで、Astraferトークンの獲得が可能です。
また惑星NFT(Asteroid・Planet)を保有しているかよっても報酬体系は異なっています。
・惑星保有者
保有している惑星が大きいほど報酬も大きくなります。惑星の大きさには5種類あります。
・非惑星保有者
惑星を保有していない場合は抽選制になります。イベントでの成果に応じて抽選券を獲得でき、抽選に当たればトークンを得られる仕組みです。
また今後は、フロンティアスペースと呼ばれる高難度のステージを攻略することでも、Astrafeトークンを獲得できるようになります。
②PvP
詳細は明らかになっていませんが、PvPの戦績に応じてAstraferトークンを獲得できます。
③NFTの販売
自身もしくは他者の惑星にあるマーケットプレイスで、スターファイターなどのNFTを販売することでトークンを獲得することができます。
④惑星(LAND NFT)の所有
惑星NFTを保有することで、不動産収入のようにトークンを得ることができます。
トークンの獲得量は
- エンゲージメントレベル(惑星への訪問者数)
- 惑星の開発(建物の建設など)
- 惑星所有者のゲームへの関与(ミッションの達成等)
などで上下します。収入を最大化するためには、ただ保有するだけでなく、プレイングやトークンの消費も必要です。
Phantom GalaxiesのROIシミュレーション
ユーザーの収益について、ROIの点から見てみます。
Phantom Galaxiesにおいてユーザー最大の収益源となりうるのが、惑星(Planet)からのトークン排出です。
惑星からのトークン排出がトークンアロケーション全体の29.1%と最大の割合になっていることからも分かります。
そこで本記事では、Phantom GalaxiesのROIを、「惑星への投資に対するリターンできまる」と仮説をたてて考えてみます。
上図は惑星ごとの購入価格と排出されるトークン量をまとめたものです。
これによると、どの惑星も最少排出時のトークン単価(惑星価格÷最少排出量)は$2.32となります。
現在(2022年9月25日時点)のAstraferトークンの価格は、$2.81ですので、
ROI=$2.81÷$2.32×100%=121.1%
が惑星の開発等をせずに放置した場合の見込みリターンとなります。
ここからさらに開発等を行い、トークン排出量を最大にすることで、ROIを伸ばすことが可能です。
最大排出量時のトークン単価は、「最小惑星$1.44~最大惑星$0.29」
と差が生まれるようになり、ROIはそれぞれ
・最小惑星=$2.81÷$1.44×100%=195.1%
・最大惑星=$2.81÷$0.29×100%=968.9%
と計算できます。
最大排出時には5倍以上の差が付くようになり、大きい惑星へ投資するインセンティブを高める仕様です。
まとめるとPhantom GalaxiesのROIは121.1%~968.9%と想定されます。
運営の収益ポイント
現在のところ明らかになっている運営の収益ポイントは
・各種NFTの販売
・フュージョン(スターファイターの強化や製造)時の手数料
・惑星開発、運営に関する手数料
※各種NFT:アイテムや惑星(Asteroid・Planet)、建造物といったNFT
となっています。
今後はおそらく、マーケットプレイスでの売買やアバターをブリードをする際の手数料も収益ポイントになってくるでしょう。
トークノミクスの分析
トークのミクスについてはまだ明らかにされていない部分が多いため、概要と限定的な考察を述べるだけにします。
トークノミクス全体像

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