「SleeFi」 STEPNモデルを取り入れたSleep to Earnの将来性

「SleeFi」 STEPNモデルを取り入れたSleep to Earnの将来性

【注意事項】

本レポートは2022年8月18日時点の公開情報から作成したものです。アップデートにより最新の情報とは異なる場合があることをあらかじめご了承ください。

SleeFiはSTEPNのトークノミクスを踏襲した「Sleep To Earn」アプリです。

ホワイトペーパーを見ると分かる通り、SleeFiのゲームルールやトークノミクスは、STEPNの影響を多分に受けつつ、改良を加えた設計になっています。

ただし、直近のGMTアーニング、GMTのユーティリティなどのアップデートまでは包括しておらず、あくまでもそれ以前のSTEPNのトークノミクスを参考にしています。

「睡眠版STEPN」とも言える設計ですが、STEPNの成功に再現性を持たせつつ、STEPNの改善点もカバーできるようであれば、大きな成長が期待できるプロダクトだと言えます。

▼SleeFiに期待できるポイント

  1. 「睡眠」という可処分時間の外側で稼げる、というコンセプト
  2. STEPNの失敗を踏まえ、初期のトークノミクスを改良している点
  3. OG(※)キャンペーンなどに見る、マーケティング施策の成功

※OG…オリジナル・ギャングスターの略で、GameFi界隈では専ら「早期にプロジェクトにコミットした人」を指します。

特に、「X to Earn」プロダクトのうち「睡眠時間でのEarn」を実現するSleep系のプロダクトの成功事例になれるかどうかが、市場の注目を集めています。

↑SleeFiアプリ画面イメージ
(引用:SleeFi公式HP

具体的なトークノミクスの改良点は、NFTバーン機能やガチャ機能などを最初から実装している点です。
トークンやNFTの消費ポイントをさらに多くすることで、価格の安定を図ろうとする意図が伺えます。

またSTEPNのアンバサダーやアドヴォケイトを意識した、OGによるマーケティングにも工夫が見られ、10/1に予定されているオープンβ版ローンチ時には大きく盛り上がることが想定されます。

一方で、下記のような課題も見受けられます。

▼SleeFiの抱える課題

  1. 経済的なインセンティブに紐づかない消費設計、NFTバーン設計が不十分である
  2. 提携しているVCやギルド等が公表されておらず、組織体制や資金力も不透明である
  3. 運営母体が不透明なため、トークン上場後のトークノミクス運営能力に不安がある

特に、運営からコミュニティへの直接的な情報発信が少ない点は、信頼関係をベースにしたコアなコミュニティを作る上で大きな課題となる可能性があり、改善の余地があります。

STEPNのトークノミクスを踏襲したのみで終わることなく、ここから独自の成長戦略を描けるかどうか、その戦略に紐づいたオペレーションが回せるかどうか、ユーザーとの信頼関係を厚く築いていけるかが、他のSTEPN類似アプリと同じように、短命で終わらないために必要なポイントとなります。

本レポートでは、STEPNとの比較を行いながら、SleeFiに期待できる点や課題点を中心に考察していきます。

開発者視点での学びPOINT

  • ・トークノミクスは、リリース後のオペレーションとセットで初めて機能する
  • ・そのため他タイトルのトークノミクスの模倣は、同じオペレーションが回せるかもセットで考慮しなくてはならない
  • ・無名のプロジェクトでもDiscordを活用して、ユーザーを巻き込んでプロモーションすると注目を集められる

ユーザー視点での学びPOINT

  • ・Web3ゲームの良し悪しは、トークノミクスだけでなく、運営の経済圏のオペレーション能力によっても決まる
  • ・既存タイトルに改良を加えた、というだけでは評価できない

プロジェクト概要

どんなプロジェクト?

NFT BedをAvalancheチェーン上で購入し、睡眠時間や質に応じてトークンを獲得できる「Sleep To Earn」アプリです。

STEPNのゲーム設計を大いに参考にして作られており、自然とトークンを消費したくなる設計になっています。

▼STEPNに類似している設計

  • NFTのLvUpによるNFTのステータス強化と、ソケット解放
  • ジュエル(宝石)をソケットに嵌めることでのステータス強化
  • 宝石を3つ使用して、確率で高レアの宝石をミントできる
  • 親Bed同士を掛け合わせて、最大七回まで子Bedをミントできる
  • ウォレットがアプリ内に組み込まれている等

▼STEPNにない設計

  • 3回以上ミントに使用されたBedをリサイクルをすることで、確率で同レアリティか、1つ上のレアリティのBedに交換できる(NFTのBurn要素)
  • SLFTを使用したガチャ要素
  • Bed NFTのステータスに、プラスの補正をかけるアイテムの存在とミント要素
  • ミント成功率などのゲーム内メカニクスを高めるトロフィーの売買(STEPNではGMT消費でゲーム内メカニクスを高める仕様)
  • トークンのステーキングによるリワード獲得

↑SleeFiの機能。NFTのレベルアップ要素や、ソケットや宝石で強化する要素、ミント要素などSTEPNのゲーム要素を参考に作られているのがわかります。(画像出典:SleeFiライトペーパー

基本プレイイメージ

トークン及びゲーム内通貨情報

デュアルトークンシステムを採用

ロードマップ

SleeFiは、2022年8月18日にクローズβ版がローンチされました。

この後のロードマップでは、フェーズ2でのガバナンストークンSLGTのIDO/IEO、フェーズ3でのDAO機能・マルチチェーンアップグレード、レンタル機能の実装が、プロジェクトの転換点となりそうです。

▼直近のシステム実装スケジュール

  • 8/18:Closedβテスト開始
  • 9/2:WL Genesis ベット販売開始
  • 9/3: 一般 Genesis ベット販売開始
  • 9/11:Jewel Genesis 販売開始
  • 9/30:SLFTのDEX上場
  • 10/1:オープンβテスト開始

これらを経て経済圏が十分に拡大したのち、フェーズ4でホテルなどの観光業や地方自治体との提携を進め、外部経済との接続を進めていく予定になっています。

将来的には「睡眠データの蓄積による健康改善」、「睡眠研究への寄付」、「DAO的な運用によるさらなる提携先の拡大」など、Sleep To Earnに留まらない社会貢献性も謳っています。

SleeFiのロードマップ(引用:SleeFi公式HP

ユーザーと運営の収益ポイント

収益を得る6つの方法

①:Bed NFTを購入し、睡眠で稼ぐ

Bedはユーザーの睡眠時間に応じて、「ショート(3~5時間)」「ミドル(4.5~7時間)」「ロング(6.5~9時間)」「フレキシブル(3~12時間)」の4種類が選べるようになっており、ライフスタイルに合ったBed NFTを購入することができます。(下図参照)

↑4種類のBed NFT(引用:SleeFi公式HP

②:Bed NFTやBedBoxの販売

SleeFiで使用するBed NFTをマーケットプレイスで売買することで収益が得られます。

一定確率で、Mintで掛け合わせたBed NFTよりレア度の高いBed NFTが出てくることがあります。

①のNFTの種類によって需要が異なる(フレキシブルはSTEPNのトレーナー靴、ショートはランナー靴に近い)ため、需要の少ないBedの利用価値を高められるかも重要です。

③:宝石やキャンディーといったアイテムの販売

睡眠時に確率でドロップされるLucky Boxやガチャから宝石やキャンディーを入手できます。
これらもNFT化されており、マーケットで売買することが可能です。

宝石がSTEPNのジェムに相当するNFTです。アイテムはSTEPNにはない、Bed NFTのステータスにプラスの補正をかけるNFTです。

レンタルには手数料が発生する(引用:SleeFi Litepaper)

④:クエスト報酬(開発中) 

一定期間内のクエストをクリアして、トークン・Bed・アイテムを受け取ることができます。
デイリー、マンスリー、スペシャルの3種類が予定されています。

⑤:トロフィー(開発中)

一定の条件を達成すると、ゲーム内で恩恵を受けられるトロフィーを獲得できます。

トロフィーごとに、ゲームシステムに関する様々な効果があり、このトロフィーNFTも売買可能です。
効果が高いトロフィーほど、高値で売買されることが予想されます。

⑥:レンタルシステム(開発中)

Bed NFTをレンタルし、借りた人が獲得した報酬を分配する機能です。貸主がレンタルの最大回数またはレンタル期間を設定し、それが終わった時点で回収されます。

借主はレンタルしたBedを、貸主同様に強化・修理することができますが、レンタル期間中にNFTが何らかの理由でBurnされた場合は、そのNFTは完全になくなります。

また貸主がBedを貸し出すにはBedを最低10台以上保有している必要があります。最大30台を保有した場合は、5台のベットを貸し出すことができます。

収益性の変数

ユーザーが毎日の睡眠で獲得するトークン量は、NFTのステータス(Attribute)値、レベルやレアリティ、Bed NFTの保有数、指定した時刻通りの睡眠ができたかどうかなどで、変わります。

①:Bed NFTのステータス(ソケットの解放と宝石の装着で強化)

  • Efficiency:数値が高いほど、睡眠中に獲得できるSLFTが増加。(cf. STEPNのEfficiency)
  • Luck:Lucky Boxの出現率やLucky Boxのレベルが変化。(cf. STEPNのLuck)
  • Bonus:アイテム使用時の効果にバフがかかる。(STEPNの靴にはない要素)
  • Special:数値が高いほど、獲得できるSLGTが増加。(cf. STEPNのComfort)
  • Resilience:値が高いほど、耐久値の減少が緩やかになる。(cf. STEPNのResilience)

②:Bed NFTのレベルとレアリティ

SLFTとSLGTを消費することでBed NFTのレベルを上げることができます。レベルが上がると一定のAttribute Pointを獲得でき、各ステータスへ割り振ることができます。

Bed NFTのレベルが31以上になると、SLFTを引き続き獲得するか、SLGTの獲得に移行するかを選択することになります。

レベル上昇によって獲得できるAttribute Pointは、Bedのレアリティによって代わります(下図参照)。
さらに同レアリティの中でも下位モデルと上位モデルが存在しており、上位モデルほど初期値のAttributeと、LvUp時のAttribute Pointが増えます。

BedのレアリティとLvUp時の獲得Attribute Point(引用:SleeFi Whitepaper

③:Bedの保有数

Bedを複数保有することによって、毎日の獲得量を増やすことができます。
2個で1.5倍、3個で3倍、最大30個で10倍のトークンを獲得できます。(具体的な保有数による倍数はこちらから確認できます。)

これは複数のNFTを所有する動機としてかなり強力に働きますが、吐き出されるSLFTやSLGTの量を大幅に上げてしまい、将来的に巨大な売り圧を作る設計です。

予定されている消費システムだけでは、将来的にこの巨大な売り圧をカバーできるとは考えにくいため、持続可能性を阻害する要因ともなりそうです。

④:収益計測のアルゴリズム

最終的に、トークンの獲得量は次の要素によって変わります。

  • 睡眠時間と質
  • BedのEfficiencyの数値
  • アイテムの能力値
  • トロフィーの獲得状況
  • Bedの保有数など、その他の補正値

このうち、睡眠時間と質によって変わるのはトークン獲得量の20%になるとホワイトペーパーには記されています。

トークノミクス分析

SleeFiのトークノミクスはSTEPNを参考にして作られたモデルになっています。

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