Sleepagotchi(スリーパゴッチ) がSleep to “Earn”にしなかった理由

Sleepagotchi(スリーパゴッチ) がSleep to “Earn”にしなかった理由

Web3ゲームは、トークンやNFTのインフレとデフレ(供給と消費)のバランスをとることが重要です。

健全な経済圏を形成するためには、必然性のあるトークンのユーティリティ(トークンの使い道=消費につながるアクション)を用意して、ユーザーが積極的にトークンやNFTを消費したくなるトークノミクスを設計する必要があります。

Sleepagotchiは、それらの経済圏のコントロールに力を入れる「X to Earn」のプロジェクトではありません。

運営はこのプロダクトのコンセプトを「Sleep and Collect NFTs」だと表現しており、「Sleep to Earn」を謳っているわけではありません。

開発者視点での学びPOINT

  • ・ユーザーにトークン獲得での「To Earn」を提供しない、Web3アプリケーションの制作事例
  • ・NFTのコレクティブル要素と、ユーザー同士のソーシャル要素を強めて、NFTに価値をつける設計

ユーザー視点での学びPOINT

  • ・Web3アプリケーションは、必ずしも「収益性」が提供価値ではない
  • ・Web3ならではの体験価値もプロジェクトを見る上での視点として重要になる

プロジェクト概要

「Sleepagotchi」のプロジェクト全体像

Sleepagotchiは、無料で始められる「Sleep & Collect NFTs」プロジェクトです。
(※運営は「Sleep to Earn」という表記をしていません)

iPhoneのヘルスケアアプリやウェアラブルデバイスと連動しており、ユーザーは就寝と起床の時間目標を設定し、実際の睡眠がその目標に近いほど、高い報酬が獲得できる設計になっています。

Sleepagotchiの基本プレイイメージ

また、睡眠をとるとNightBox(ナイトボックス)を毎朝獲得することができます。
NightBoxの中には、MetaRoomという仮想ベッドルームを彩る家具NFTが入っています。

家具NFTは、ベッドやカーペット、ポスターなどの種類があり、このNFTのステータスやレアリティによって、稼げるトークン量やドロップするNFTのレアリティが変わります。

ユーザーは、自分で設定した睡眠時間を守り、毎日記録をつけることで、より多くのトークンと高いレアリティのNFTを獲得できるようになります。

これがユーザーに「規則正しい睡眠を毎日守る」動機となり、睡眠習慣の改善につながります。

なおアルファ版では、$SHEEPトークンはDEXにもCEXにも上場しておらず、ゲーム内ポイントとして機能するまでに留まっています。

その他のシステム

▼ NightBoxのレアリティ

NFTだけでなく、NightBoxにもレアリティが存在します。
高いレアリティのNightBoxほど、高いレアリティのNFTが入っている可能性が上がります。

▼キャラクターNFT(アルファ未実装)

プレイ開始と同時に配布される、ユーザーが$SHEEPトークンを稼ぐのに必要なNFTです。
NightBoxから(低確率で)入手するか、2つのキャラクターNFTからブリード(繁殖)することで入手できます。

キャラクターNFTにはLvなどの要素はなく、単純に視覚的な要素で差別化される予定です。

▼トークン報酬ロジック:「The EYE」

就寝時間・起床時間が、目標と何分ズレたのかによって、獲得報酬の倍率が変化(0.12倍〜2.00倍)します。
目標の前後15分以内に就寝・起床ができると、最大の2.00倍のボーナスがつきます。

▼連勝記録

Sleepagotchiには、「連続睡眠」(ストリーク)という概念があります。
連続して4時間以上寝ると「連続睡眠日数」にカウントされます。
このストリークの長さによってNightBox報酬のNFTの個数やレアリティにボーナスがつきます。

ユーザーと運営の収益ポイント

ユーザーの収益性に関係する変数

▼総合力:MetaRoomに配置したNFTの「パワー」の合計値。これが一晩で稼ぐトークンの総量の基準値になります。

▼睡眠目標時間による倍率:睡眠時間4時間を1.00として、長いほど倍率が高くなっていき、最長8時間で1.50倍になります。(8時間以上はどれだけ寝ても増えない)

▼実際の睡眠時間:設定した目標の睡眠時間に対する、実際の睡眠時間の割合がかけられます。(8時間目標で、6時間睡眠だったら、効率が6/8=0.75倍になります)

▼就寝時間・起床時間:目標とした就寝時間・起床時間との、実際のズレ(分数)によって、倍率が変わります。(ともに、誤差15分で2.00倍が最大となる。詳細は後述)

▼ウェアラブルコンボ:より正確なデータが取れるため、ウェアラブルデバイスと連携すると1.50倍のボーナスがつきます。

左図の場合:1.52 × 1.45 × 0.90 × 1.96 × 1.00 = 3.89トークンを獲得 

NFTのステータス

▼レア度:Common・Uncommon・Rare・Super・Myth・Secretの6段階のレアリティがあります。

▼タイプ:NFTのカテゴリーです。ベッド、ナイトスタンド、テーブル、カーペット、ポスター、窓、備え付け家具などがあります。

▼ラック:よりレアな「NightBox」を入手できる確率を高めます。

▼スリープパワー:ユーザーが一晩で獲得できる$SHEEPトークン数です。MetaRoom内のNFTのスリープパワーが合計され、スリープパワーの基礎力を形成します。

▼コンボ:異なるタイプのNFTの一部でマッチすると機能し、基礎力に乗じられ追加報酬を得ることができます。

▼クリーニング(アルファ未実装):将来的に、NFTの耐久性・修理に関係するステータスです。

運営の収益ポイント

現時点で実装されているキャッシュポイントはありません。
マーケットプレイスの売買手数料も一部徴収していますが、それはゲーム内通貨で換金性はありません。

外貨獲得の手段として想定できる、Sleepagotchiと連携するメリットがある企業は以下の通りです。

  • 集客コストを削減できるウェアラブルデバイスのサプライヤー
  • MetaRoomに置くキャラクターNFTを発行するIPホルダー
  • MetaRoomに置く家具NFTを発行する家具ブランド
  • Sleepagotchiを使用しているユーザーの医療リスクを軽減できる保険会社
  • Sleepagotchiと提携して、福利厚生プログラムを通じて従業員の健康を改善する雇用主

しかし、これらの企業とのコラボレーションによって獲得できる外貨は限定的であり、増えるユーザーへ払う報酬を支えるほどの、大きな収益になるとは考えにくいです。

ここから考えると、Sleepagotchiは$SHEEPトークンを上場させないで、ユーザーが集めるNFTに価値をつける方針でいると考えられます。

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