【TONゲーム3大タイトル】実績と将来戦略比較

【TONゲーム3大タイトル】実績と将来戦略比較

今回は、ユーザー数9.5億人を誇るTelegramが展開するTelegram Mini Appsで流行した3タイトルの情報を整理し、将来戦略を比較します。

本記事では「有名TONゲームはある程度知っているが、具体的な内容を把握できていない」方が、概要をまとめて理解できる内容にしています。

対象タイトルはユーザー数が多く、エアドロップまで実施したことで話題になった下記3タイトルです。

  • Notcoin
  • Catizen
  • Hamster Kombat(ハムスターコンバット)

これらのタイトルの将来戦略を横並びで見比べることで業界の動向を把握し、今後の開発方針の参考として活用していただければ幸いです。

また、3タイトルに共通するリリースから多くのユーザーを獲得するまでの流れも見えてきたので、この記事の中で触れます。

3大タイトルの基本情報

最初に3大タイトルの基本情報をおさらいします。

Notcoin Catizen ハムスターコンバット
リリース日 2023.11.14 2024.3.19 2024.3.26
ゲームテーマ コイン獲得 カフェ運営 取引所経営
運営チーム Sasha Plotvinov Pluto Studio Limited
(CEO:David Mak)
不明
ユーザー数【人】 5,000万 3,600万 3億
発行トークン $NOT $CATI $HMSTR
トークン発行上限【枚】 なし 10億 100億
エアドロップ実施日 2024.5.16 2024.9.14 2024.9.26
2024年11月1日時点時価総額【$】 6.8億 0.98億 1.75億

同様に、各タイトルのゲーム機能を整理すると下表のようになります。

Notcoin Catizen ハムスターコンバット
タップでポイント獲得 △(今はなし) - △(今はなし)
ポイント自動獲得 -
カードのレベル上げ -
デイリーボーナス -
アプリセンター
課金要素 -
ソーシャルタスク
キャラの変更 - -
招待ボーナス
ウォレット接続

リリース当初に各タイトルに搭載されていた単純なタップでポイントが貯まる機能は、アップデートにより変更されていますが、この理由は後ほど考察します。

Notcoin

出典:Notcoin公式HP

Notcoinは、画面に出ているコインをタップすることでポイントが貯まるTelegram初のTap to Earnゲームで、のちのブームの火付け役となったタイトルです。

https://twitter.com/ston_fi/status/1743610125716226287

Sasha Plotvinov氏の主導で、9億人のユーザーをWeb3に誘致することを目的に開発が進められ、執筆時(2024年11月中旬)までに5,000万人のユーザーを集めることに成功しています。

Sasha Plotvinov氏は、Notcoinの開発者であるOpen Buildersの創設者でもあり、Telegramコミュニティにサービスを提供するためにマーケティングキャンペーン、NFTミント、トークン販売、コミュニティエンゲージメント等のツール群を提供しています。

以前はカルフォルニアのベンチャーで社員が30人から1,500人になるまでの間勤務しており、当初はデザイナーでの採用でしたが、最終的にはプロダクトマネージャーとしてキャリアを積んでいました。

Notcoinはエアドロップも話題になり、1,000万人のユーザーがトークン報酬を稼いだとされています。

NotcoinのエアロドップはZkSyncとLayerZeroを足した以上のエアドロップであった。
・Claimされたトークン:
Notcoin(11.5M)>ZkSync(695K)+LayerZero(1.28M)
・エアドロップバリュー
Notcoin(2.5B)>ZkSync(954M)+LayerZero(323M)

Trade Xポストを要約/翻訳

Catizen

出典:ホワイトペーパー

Catizenは猫カフェ経営がテーマのTap to Earnゲームで、猫の種類を増やす/ランクを上げることで自動で獲得できるポイントが増えます。

シンプルながらも質の高いゲームであり、背景には開発チームのPluto StudioがWeChat等のプラットフォーム上のミニアプリを多数成功させてきたチームであることが関係します。

課金要素もあり、$CATIのエアドロップを求めるユーザーを中心に課金させることに成功している点も注目ポイントです。

出典:TON Japan公式X

Catizenの詳細は下記記事をご覧ください。

【CFO独占インタビュー有り】リリース半年でユーザー数3,000万人を誇る「Catizen」を徹底解説

ハムスターコンバット

出典:Hamster Kombat公式X

ハムスターコンバットは取引所経営がテーマのTap to Earnゲームです。

ゲームプレイやタスクの完了で獲得できるポイントを消費し、カードのレベルを上げ、自動で獲得できるポイント(PPH:Profit per Hour)を増やしていく内容です。

本タイトルはリリースから約半年の間に、下記のような実績を残してきました。

  • ユーザー数3億人、DAU5,000万人
  • Xフォロワー1,400万人
  • Telegramチャンネル参加人数5,200万人
  • Youtubeチャンネル登録者3,730万人、総動画再生数12.3億回

特にユーザー数3億人はWeb3史上最大のユーザー数であり、Binanceが関係するエアドロップに非常に注目が集まりました。

ハムスターコンバットの詳細は下記記事をご覧ください。

【期待されたエアドロップを振り返る】ハムスターコンバット

3大タイトルの歩んできた道

次に本記事で扱う3タイトルが、どのような実績を残してきたのかを振り返ります。

ユーザー数推移

ユーザー推移とリリースからの日数の関係をグラフにまとめると、下図のようになります。

最終的なユーザー数と伸び方の双方の観点で、ハムスターコンバットが群を抜いていることが分かります。

ユーザーが1億人に達するまでの日数で見ても、Web2の王者と言われるアプリよりもかなり短期間です。

1億ユーザーに達するまでの期間
・WhatsApp:3.5年
・Instagram:2.5年
・TikTok:9ヶ月
・Hamster Kombat:72日

Hamster Kombat Xポストを要約/翻訳

ハムスターコンバットと比べると他タイトルがユーザーを集められていないようにも見えますが、共にリリースから半年で約3,500万ユーザーを集めています。

数字の取り方は異なりますが、Web3で流行った過去タイトルの数字が

  • Axie Infinity:MAU278万人(2021年11月)
  • STEPN:MAU70万人(2022年5月)

であることを考慮すると、Telegram Mini Appsとエアドロップの組み合わせは非常に強力なマーケティング手法である可能性が示唆されます。

時価総額推移

上場(TGE)からの時価総額推移を比較すると、下図のようになります。

TGE時には時価総額がそれぞれ

  • Notcoin:7.8億$
  • Catizen:2.9億$
  • ハムスターコンバット:4.2億$

でしたが、その後は基本的には全て下がり基調です。

今回扱っているタイトルは全てTGEとBinance上場が同時であり、Binenceへの上場直後は時価総額が上がるものの、その後は結局下がってしまうというデータ(ソース:Ren & Heinrich)と同じ動きをしています。

ユーザー数が2位のNotcoinが他タイトルの2倍以上の時価総額を維持している点も特筆すべき点です。

TGEから約1週間後に上昇に転じていますが、このタイミングから大規模なトークンのバーンが行われており、供給量が絞られた結果であると推察されます。

出典:Notcoin公式Xポスト

共通の王道パターン

ここまで各タイトルの実績や基本情報を振り返ってきましたが、タイムラインや細かい施策は違えど、俯瞰すると下図に示す共通のパターンを歩んでいることが分かります。

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